ロンドンに行ってきた。
日本を発ったときはまだかなり暑かったんだけど、ロンドンは既に最高気温20℃くらいで、とても快適に観光できた。やっぱり人間が活動するのに適した気温ってあるよね…30℃超えたらもう人間が活動する気温じゃないんだよ…としみじみ思ったりした。
……ていうのはまあ置いておいて、今回ロンドンで一番期待していたのは大英博物館だった。だから初日に行って、開館から閉館近くまで入り浸ってみっちり見学した。
でも、結論から言うと、大英博物館は全然あたしの好みじゃなかった。「うわー、そういうことかー」という大きな気付きはあって、そういう意味ではとても興味深かったんだけど、骨董市か!?みたいな雑多感満載だな…というのが正直な感想だった。
普通、博物館というのは、何らかのテーマと方針のもと、専門知識や鑑識眼がある人たちが学術的に価値があるものを収集し、それらを研究したりわかりやすく体系的に展示する場所だと思う。
でも、大英博物館ってそういう成り立ちじゃないんだよね。大英博物館は、医師で科学者だったハンス・スローン卿が自身の収集品を寄贈したことから始まっていて、その後も他の個人収集家たちによる膨大な寄贈で収蔵品が増加して今に至っている。
この、「大英帝国時代に、上流階級とは言え素人の個人が、各々の趣味で収集したものの、膨大な寄せ集め」というのが、骨董市的雑多感の原因だと思う。一応財力がある人たちが集めたものだから、どれもそれなりの品だけど、専門知識と目的を持って学術的価値があるものを選んでいるわけじゃないから、脈絡がなくて偏ってる感がすごい。
一個人のコレクションが脈絡がなくて偏っていても、大勢のコレクションが集まればなんとかなる気がしないでもないけど、実際にはなんとかなっているようには見えなかった。例えば、世界の地域ごとに分類して何かを展示していても、よく見るとその地域の代表的なものが展示してあるわけでなく、特定の場所のものばかりだったりするわけ。地域間で妥当な比較ができないなら、地域分類する意味はない。
そういう意味では、大英博物館の学芸員たちは、さぞかし展示分類に苦労したんじゃないだろうか。実際、体系的な枠組みに入れて展示するのが難しすぎるコレクションたちは、「◯◯卿のコレクション」みたいなコーナーを作って展示するスタイルになってたし*1。まあそういうのは「大英帝国時代の上流階級イギリス人がどういうものを珍しがって集めたのか」という観点で眺めると興味深くて、それはそれで面白かったんだけど。
とは言え、ちゃんと展示テーマと展示品バランスが合致していて展示品自体も内容を網羅している良いセクションも一応いくつかあった。時計の歴史とか。
エジプトのお棺のコレクションもすごかった。変わったものがたくさんあって、こんなのがあるんですか?とビックリ。ガラス越しの写真でイマイチだけど、見て。

顔は普通だけど、気をつけの姿勢になってるお棺(左前)
気をつけの姿勢で顔もちょっと人形っぽいお棺(右)

ギリシャ人みたいな顔が描かれてるお棺(右)

猫ちゃんたちのミイラもかなり凝った巻き方がしてある(右)
あと、ミイラの巻き方にもビックリした。

手が胸の上で組まれてなくて前を隠すような形になってるのにも驚いたけど、手足が拷問とか封印みたいにガッチリ縛られてるのにも驚いた。身体は死後の世界で使うっていう設定じゃなかったの?
あと、ギリシャのパルテノン神殿の彫刻のセクションもすごかったけど、これはギリシャが散々返還してくれとお願いしてるのに返してないやつ*2だと知ってたのと、アテネのアクロポリス博物館に行ったときに、略奪を逃れた残りの彫刻と一緒に現在大英博物館にあるもののレプリカが展示してあるのを見てたのもあって、あたしとしてはギリシャへの同情しかなく、「もお~返してあげなよ~」という感想しか湧いてこなかった。
わけがわからない破片しかないようなものまで展示していて、

これが返還要求に含まれてるものなのかは知らないけど、こんなのイギリスが持ってたって意味ないでしょ!💢返してあげなよ!!とマジで思った。
ちなみに、大英博物館はロゼッタ・ストーンもエジプトに返還要求されつつ返さないで目玉展示品としている。個人的には、レプリカをルーブル彫刻美術館という変な場所で見ちゃってたから、
出てきた感想は「返してあげなよ!」じゃなくて「あー、竹川さんが作ったやつとおんなじ!(当たり前)」だったんだけど。
しかし、独特な博物館だったなぁ。「大英博物館」と言うより「大英帝国博物館」と言った方が趣旨としては合ってるんじゃないか。
あたしの好みではなかったけど、大英帝国というメンタリティの側面がわかる博物館だった。いやー、実際に見ないとわからなかったわ、これは。