役に立つかは別として

頭の中にあるゴチャゴチャを出しとけばスッキリするかも

昔むかしの伏線を回収するという人生後半の遊び

つい最近、Amazonのプライムビデオに「Elizabeth」と「Elizabeth: The Golden Age」があるのに気づいて、2本続けて観た。

これと

エリザベス (字幕版)

エリザベス (字幕版)

  • ケイト・ブランシェット
Amazon

これ。

この2作を観るのは2回目。1回目も2本立てで観た。たぶん2作目が出てわりとすぐに観たと思うから、2007年頃。

そのときは、王じゃなくて女王が主人公っていうのがあたしの注目ポイントだった。女がイングランドを統治してた、しかも40年以上も統治してて、後にゴールデンエイジとまで言われるほどの成功だった、というのに素直に感動したのを覚えている。Cate Blanchettの演技にもめっちゃ感動した。とにかく印象深くてインパクトがある映画だった。

あれから月日は流れ、あたしは去年の秋頃にコテンラジオでエリザベス1世のエピソードを聴いた。

cotenradio.fm

コテンラジオって歴史が学べるポッドキャストなんだけど、まじで面白く学べる。なので、定期的に聴いてたら、たまたまエリザベス1世が取り上げられていた。

そしたら「あれ?そうだっけ?映画で観た話と微妙に違うような…あたしの思い違いかな?」みたいな箇所が結構あった。あと、その一方、いい意味で「エリザベス女王ってそういう人だったんだ!」という追加情報も多かったから、俄然エリザベス女王に興味が湧いてきた。

そんなこんなで、一度ちゃんと本を読んでみようと思い立ち、この本を読んだ。

石井美樹子さんは英国文化を研究なさってる神奈川大学の名誉教授。史実をもとにしたフィクションとかではなく、史実を検証してまとめたエリザベス1世の生涯の話。

分厚くて読むの大変だったんだけど、かなり面白かった。

で、「そうかぁ、そうだったのかぁ……」と思っていたら、プライムビデオで2部作を見かけたからもう1回観た、というわけ。

そしたらやっぱり映画はかなり脚色されていて、史実もいろいろ折り曲げられていた。

史実を知ってから観ると、やっぱり1回目に観たときと印象が全然違う。「えっ、そんな曲げ方する?!」みたいなのがたくさんあった。ちょっとだけ例をあげると、

  • エリザベスが即位したときはまだ若くてその後生涯重要な家臣だったWilliam Cecilが、映画では即位時すでに年配で、ソッコー強制隠居させられていた(え?)
  • 死ぬまでエリザベスの寵臣だったRobert Dudlyが、映画では女王暗殺の陰謀に加担したことになっていた(寵臣だったくせに反乱を起こして女王の怒りを買ったのは映画には登場しなかったRobert Devereux)
  • 「許可なく侍女と結婚してエリザベスの怒りを買った男」程度でしか石井さんの本には出てこないWalter Raleighが、映画ではスペインから宝物を奪って名前を挙げ、エリザベスの寵愛を受けて最終的にはアルマダの海戦で活躍した海賊になっていた(スペインの宝物を奪ったりアルマダの海戦で活躍した海賊はFrancis Drake。そしてエリザベスがRobert Dudleyのあとに寵愛してたのはRobert Devereux)

みたいな感じ。かなり大胆な折り曲げ方をしていて、むしろ感心してしまった。

あと、話はズレるけど、今は有名なDaniel Craigが1作目(1998年)に脇役で出てるね!そして2作目(2007年)の方には、今は有名なEddie Redmayneが脇役で出てるね!1回目に見た時はぜんっぜん気づかなかったわ。笑

 

昔むかしの記憶が何かのきっかけで新しい興味になり、それが学びにつながって、新しく学んだことが視点を劇的に広げ、以前見たものへの感想をガラリと変える。こんなことがあるんだねぇ。2007年の伏線を今ごろ回収することになるとは思わなかった。

歳を重ねることの良さはこういうところにあるんじゃないか。

 

 

 

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