ロンドンの話の続き。
博物館だけじゃなく植物園も大好きなので、ベストシーズンではないと知りつつもキュー王立植物園に行ってきた。
自然史博物館の話でも「こういうのは似たような構成・展示になりがち」と書いたけど、
植物園もぶっちゃけそうだと思う。結局のところ、世界各地から植物を集めて空調・土壌管理した施設で育てて展示する形になるから、似たような内容をいかに美しく面白く見せるか合戦になりがち。個人的には、動植物は何回見ても飽きないから似たような内容でも別にいいんだけど、今回は「王立」で「世界遺産」ってことで、何がそんなにすごいのか見せてちょーだい、とちょっぴり意地悪な期待をしていた。
結論から言うと、「王立」の力はすごかった。
もともと宮殿の庭園だったものがどんどん拡張されて、当時の植民地政策も相まって品種改良なんかの研究にも利用され、今に至ってるわけだけど、これ要は、王室がこういうことに資金を注ぎ込んで拡大・維持するって判断を下してたから今があるわけなんだよね。
だって、行ってみるとわかるけど、キュー王立植物園ってホントにとんでもない広さなのよ。ゴルフカートを連結したみたいなミニトレインが園内を巡回してるくらい。今確認したら、132ヘクタールで、東京ドーム30個に近い大きさらしい。
実際、巨大温室は3つもあるし、日本庭園とかハーブガーデンとかローズガーデンとかいろんなセクションもあるし、巨大苗床施設、図書館、あげくの果ては園芸学校なんかもあったりする。民間とか政府とかじゃ、なかなかできない規模だと思う。
個人的に一番感動したのは、大木の標本がものすごかったということ。
最初は、もともと木がたくさんあった場所に庭園を作ったのかなと思ってたんだけど、よく見ると木のバリエーションがすごくて自然に生えたものではない。「あれ?この辺全部松っぽいけど、よく見たら全部種類違わない?!え、松ってこんなに種類あるの!」と驚く。
しかも、全部めちゃくちゃ大きい。ちゃんと間隔を空けて植えられているから、枝振りも全部めっちゃ立派。


それに、登って腰掛けて本を読めそうな木とか、ツリーハウスを作れそうな木とか、秘密基地が作れそうなスペースが地面にある木とかもたくさんある。

温室とか◯◯庭園みたいなのは、そこそこの広さの土地さえあれば集めてきた植物を移植して短期間で作れる気がするけど、大木の標本をこんなに立派に育てて並べるのはかなり広い土地と時間がなければできないと思う。
てか、そもそも、少しずつ違うとは言え一般的な木を標本として集めて大木に育てようっていう発想自体があんまりない気がする。だって、土地も資金も時間もかかるわりに地味なんだもん。こういう言い方は失礼かもしれないけど、こういうのって暇な金持ちの道楽的アイデアで、暇な金持ちにしか作れないクオリティだったりするんじゃないか。そういう意味で、王立の力のすごさを見た。
そうだ、暇な金持ちの道楽と言えば、ケンジントン宮殿に隣接しているケンジントン・ガーデンズとその東にあるハイド・パークみたいな広大な公園も、もともとは王たちが狩りをする場所として維持していた土地なんだよね。
ケンジントン宮殿に行ったときに散歩がてら公園の中を横切ったんだけど、たくさんの人がジョギングや散歩をしていて、とても素敵な場所だった。ワンコを連れてる人もたくさんいて、9割くらいがリードなしで自由に歩かせてるのにワンコたちみんなお行儀よくて、公園全体が秩序あるドッグランみたいになっていた。この近くに引っ越して犬を飼ったら楽しいだろうなぁ……とマジで思った。

奥にちょっと見えてるのがケンジントン宮殿
つまり、ロンドンという大都市に「引っ越してきたいかも!」と思わせるくらい素晴らしい、広大で自然溢れる公園があるのは、王室の道楽のおかげなわけ。面白いなぁ。
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ところで、全然関係ないんだけど、ケンジントン宮殿の前にある人工池でブラック・スワンを見た。

黒い白鳥って、ホントにいるのね!
金融危機が起きたときみたいな、起こらないだろうと思ってたことが起こって衝撃が走る喩えとしてブラック・スワンって言葉を使うけど、見ることなんてないと思ってたブラック・スワンに遭遇したらホントに衝撃的で、「ブラック・スワンそのまんまやん!」と笑ってしまった。
こんな公園が近くにあるイギリス人が羨ましい。