役に立つかは別として

頭の中にあるゴチャゴチャを出しとけばスッキリするかも

図や絵を使っても伝えるのが難しいこと

またこの間と同じパターンなんだけど、今朝pucayuさんの奈良旅行の記事を読んで、

whostolemysheep.hatenablog.com

そう言えばあたしも先月奈良に旅行したんだよ!と思い出した。

奈良国立博物館が「空海 KŪKAI―密教のルーツとマンダラ世界」っていう特別展をやっている*1と聞いて、「仏教についてもっと学ぶ」を今年やりたいことに掲げているあたしとしては行くしかないでしょと思ったから。

とても良かった。

「かつてない空海展」というキャッチコピーに納得するしかない、めちゃくちゃ充実した展示だった。真言密教を理解するための展示品がこれでもか!という感じで並べてあって、しかも全資料が一級品、仏像や曼荼羅*2なんかは美術品としても鑑賞しごたえがあった。さすが国立博物館。

でも、その分、今のあたしにはとても全部消化しきれなかった。

真言密教についての本を何冊か読んでから行ったから、「ああこれがアレね」「なるほどこれがこうなのね」みたいな知識の強化はできたし、今後勉強するにしても今回見たものは役に立つと思うから有意義ではあったけど。

まあ、壮大な思想体系を学ぶなんてそんなもんなんだろう。何度も触れていくと徐々に理解できる、みたいな。いろいろ考えるきっかけにもなったし。

てことで、1つ考えたことをメモ的に書いておこうと思う。

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真言密教と空海に関してあたしが一番注目しているのは「言葉だけでは伝えられない真実がある」という考え方。なぜって、あたし自身もそう感じるから。そして空海がその言葉だけでは伝えられないものをどう伝えようとしたのか、というところに興味があるから。

空海は「密教は奥深く文筆で表し尽くすことが難しい。そこで図や絵を使って悟らない者に開き示すのだ」と言って曼荼羅を提示した。自分を取り巻く世界があまねくこうなっているのだという没入感的な側面が平面曼荼羅では表現しきれていないと思ったんだろうと思うけど、立体曼荼羅も作った。

それで今回、金剛界曼荼羅と胎蔵界曼荼羅について一応少し読みかじってから、空海が制作にかかわった日本現存最古の両曼荼羅の現物と立体曼荼羅の再現を見たわけだけど、正直な感想は、言葉を連ねるよりマシかも知れないけどやっぱり難しいなぁ、だった。意図はなんとなくわかるけど、思想の核心を伝えるという目的はやっぱり果たせない気がする。

結局のところ、曼荼羅を参考ツールとして使って自分で悟ってね…という感じになってしまうのではないか。

そして、曼荼羅を参考ツールにしたら閃きを得ることができる人って意外と曼荼羅がなくても閃くし、閃かない人っていうのは曼荼羅があってもなかなか閃かないんじゃないか。

さらに言うと、最近「石丸構文」で話題になった石丸氏みたいな、定義からしか入れなくて重箱の隅をつつくタイプの人は曼荼羅を見たら逆に混乱するんじゃないか。笑

まあそれはいいんだけど、こうやっていろんな側面を象徴する如来、菩薩、明王、天がずらっと揃っていると、宗教を身近に感じやすくはなるんじゃないかなぁと思った。誰でも自分の推しを見つけられる的な。これはギリシャのメテオラでいろんな聖人がずらりと並んで描かれているのを見たときも感じたんだよね。概念の擬人化は老若男女、教養あるなしに関わらず効果的だと思う。

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そう言えば、宗教の話で思い出した面白い話があるから、空海にも曼荼羅にも関係ないけど書いとく。

日本の幽霊って、よく頭に三角の白い布つけてるじゃない?あれ、天冠(てんかん)って言って死装束の一部なんだけど、自力本願である禅宗とかでしか使われないんだって。

自力本願の人は、死んだあとも自力で三途の川を渡って浄土まで旅しなくちゃいけないからああいう旅装束になるんだそう。で、額の三角布は真っ暗な道中で反射タスキ的な役割を果たすんだとか*3

他力本願の浄土真宗なんかだと、死ぬと観音菩薩様がお迎えに来てくれるから自分で旅しなくてもいい。だから旅装束も必要ない。

つまり、頭に白い三角布がついてる幽霊ってのは自力本願系の遭難者で、三角布がついてない幽霊は、お迎えに来てもらえなかった他力本願系の人ってことらしい。

ワロタ。

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宗教、意外と面白い。

 

 

*1:2024年4月13日から6月9日までだったので、既に終了。

*2:奈良国立博物館がなぜか「曼荼羅」じゃなくて「マンダラ」とカタカナで書いてるからあたしもカタカナにしようと思ったんだけど、やっぱり気持ち悪いから漢字にしとく。

*3:と、あたしは聞いたけどホントかどうかは知らない。道中真っ暗なら、ヘッドライトを装着しといた方が自分も道が見やすくていいんじゃないかと思うんだけど。