この間、お世話になったアメリカ人に包丁を贈った話を書いたけど、
実は、人生で一番お世話になったとあたしが思ってる人は別にいて、この人にも今回フロリダで会った。……というか、この人が今回のフロリダ行きの本命理由。
ちょっと前にここで書いた「発音を学び直して来い」と言ってくれた人。
当時、とあるリゾート関連会社の副社長をしていた彼は、あたしが在籍していたフロリダの大学院で客員教授もしていた。
あたしはたまたま単位が足りなくて彼の講座をとっただけだったんだけど、ある日「お前はいつ卒業するんだ?」と聞かれ「あとはインターンシップしたら卒業です」と答えたら、「ちょっと会社に来い」と言われた。それでよくわからないまま彼の会社まで出向いたら「今、取り組みたいと思っているプロジェクトはこれとこれとこれだ。どれがいい?」と聞かれ、「は??どれがいい、とは???」と聞き返したら「インターンシップに決まってるだろう!」と言われたという……。
そしてインターンシップ終了後、正式に仕事のオファーをくれて、なにかと目をかけてくれた。あの人がいなかったら、あんな簡単にアメリカで就職できてなかったと思うし、あんな効率的に成長できてなかったと思う。あたしにとっては、マジで足を向けて寝られない人なんである。
そんなこんなで、当時からあたしは彼のことをとても尊敬していた。
でも、今回20年以上ぶりくらいに会っていろいろ話したら、彼は想像以上にスゴい人だった。こんなにスゴい人だったのか、世の中にはこんなスゴい人がいるのかと圧倒された。
まず、彼は現在74歳なんだけど、20年前と姿がほぼ変わっていない。どゆこと!?って感じなんだけど、実際その日撮った彼の写真を当時の同僚にも見せたら、全員驚愕していた。本人いわく、週3回ジムに行って1日1食の生活をしてるだけだそう。
そして、彼は現在いくつもの会社の社長をしてるんだけど*1、毎日いろんなところに行っていろんな人に会うのが楽しすぎて、リタイヤなんて考えられないという状況なんだそう。それどころか、「事業化したいことのアイデアはどんどん湧いてくるから、今の人生だけでは全然足りない」と言っていた。
お金は足りそうだからもう働かないとか言ってるあたしとは大違いである。チーン。
でも、あたしが圧倒されたのは、彼が人に対して示す配慮や行動力だった。いや、昔からすごいなとは思ってたけど、74歳にして未だ多忙な生活を送ってるというのに、相変わらず想像の遥か上を行くレベルで人のためにいろんなことをしてるんである。
実はあたしが彼に会いに行ったとき、彼の奥様(ホンジュラス人)のお母様が危篤で、親族がみんなホンジュラスに集まっている状態だった。それなのに、彼はフロリダであたしが来るのを待っててくれた。「えぇっ、そういう事情だったらドタキャンされても理解してましたよ…」と言ったら「大丈夫、明日朝イチでホンジュラスに飛ぶから」と言っていた。
で、思わず「明日の朝、お宅までお迎えに上がりましょうか?空港までお送りしますよ」と言うと、「いや、大丈夫、近所の青年に送ってもらうから」と言う。なんでも、アプリで起業しようと頑張っている青年が近所にいるそうで、彼はその青年を孫のように可愛がって日々アドバイスして助けているとのこと。だから、頼んだわけではないけど、青年の方から「ボクが空港まで送迎します!」と言われたらしい。
たくさん会社があって世界中飛び回ってるのに、どうして近所の青年の世話までできるのか、全く意味がわからない。それに彼のことだから、テキトーにやってるわけじゃなく、しっかり責任を持って世話してるはず。かつてあたしにしてくれたみたいに。
スゴすぎないか?
……と思っていたら、ディナー後にレストランを出ようとしたとき、彼はドアの手前で立ち止まってレストランの従業員の女性に声をかけていた。どうしたんだろう?と思ったら、レストランを出てから彼は「今の人ね、もう50歳過ぎてるんだけど、もう一度学校で学び直したいって言ってるから、いろいろ助けてあげてるの。学校を卒業したら仕事も世話してあげるつもり」と言っていた。
どんだけ~!!!!
どんだけスゴいんですか、あなたって人は。
こういう人に出会える人生って、もしかするととても貴重なんじゃないか。あたしは、とてもラッキーな人間だったんじゃないか。
この人なしでは今のあたしはなかったと思うし、今回20年以上ぶりに再会して、何かまた大きな影響を受けた気がする。
ちなみに、今回彼には包丁ではなく、寄木細工の箱を手土産に持って行った。寄木細工の美しさが彼の好みに合うんじゃないか、秘密箱みたいなカラクリも彼は面白がって喜ぶんじゃないかという謎の確信があって、わざわざ箱根まで買いに行った。*2
それで、最初は大ぶりな寄木細工の秘密箱を1つ買おうと思ってたんだけど、大ぶりになると開けるステップが20回とかで難しくなるし、秘密箱は普通の箱のように内側まできれいに仕上げられてなくて開けると高級感がないから、結局は大きめで高級感がある普通の寄木細工の箱とおもちゃ的に遊ぶ用に小さめの秘密箱の2つを持っていった。
そしたら大当たりだった。
大きい方については、「きれいだ!こういうの大好きなんだよ」と大喜び。そして小さい方は、あたしが「それは秘密箱っていうんですけど……。そっちの紙に開け方の答えが書いてあるので……」と説明するのをガン無視して即座にいじりだし、ものの1、2分で開けてしまってから「実は秘密箱も大好きなんだよ!」とドヤ顔した。
え!!あたしは店頭でトライするも開けられなかったんですけど!
……まったく、本当にスゴい人だ。
こんな人に出会えてあたしは幸せだと思う。再会できてよかった。