青森に行って以来、自分の中でちょっと縄文がブームになっている。それで、もっと縄文について知りたいと思って縄文の本をいろいろ読んでるところなんだけど、めっちゃ面白いのがあったからメモっておきたい。
これ↓
- 縄文時代について現時点でわかっていることを紹介しつつ、
- それを踏まえて縄文人の生活を想像し、
- 現代人の生活について考えてみる
という感じの本で、個人的には目からウロコの連発だった。縄文ブームじゃない人にも面白い内容だと思う。
豊かな環境・生活
- 世界的には「農耕の開始=定住の開始」というのが常識なんだけど、縄文人は狩猟採集をちょっと補う感じでクリの木を植えたりしてただけで農耕はしておらず珍しいケース。農耕しなくても定住できたくらい豊かだった
- 世界の狩猟採集民族に比べても縄文人には虫歯が多く見つかっており、栄養価の高い食事をしていたことがわかっている
- 食べるものに困らなかったので、労働時間は1日4時間ほどだったと言われている
集落ネットワーク・経済
- 地元では採れない動植物や鉱物を集落間ネットワークで手に入れていた。実際、新潟県産のヒスイや長野県産の黒曜石など特定の場所でしか採れない石が全国的に流通していた
- 集落間ネットワークは婚姻で広がっていた
- 貨幣がなかった縄文時代は、お土産を送り合う贈与経済だったらしい
- 農耕をしていなかったので、土地所有という概念もなかったのでは*1
- 縄文時代には分業(特定の職業)はなく、各家庭が生活に必要なことは全部自分たちでやっていた
オタク文化
- 縄文人は石オタクで、お互いの集落の石を交換したりしていた。黒曜石の産地は日本各地にあるが、長野県産が珍重されていた*2
- 内陸では貝型土製品(=粘土で作ったなんちゃって貝輪)が出土していて、貝輪への憧れがあった
- 土偶の頭部が髪の毛であると仮定した場合、かなり複雑な髪型になる
- 貝塚や盛土は、貝や動物だけでなく石器や土器も含む全てのものの墓場だったのではないか
- 火焔型土器など複雑な形の土器作りには地域ごとの作法があり、結構みんなそれを守って作っている
などなど、全部書くとネタバレになっちゃうからこの辺でやめとくけど、えー、そうなの?と驚くところがたくさんあった。
特に、アイヌや諏訪に残る文化は現代に受け継がれる縄文スピリットではないかという話はかなり興味深かった。古事記とかに出てくる話でも、弥生人が自分たちを天津神としていて縄文人を国津神としてるっぽいなぁと思ってたけど、やっぱりそういうことなんじゃないか。
あと面白かったのは、争いがなかった縄文時代を天下泰平の江戸時代になぞらえていたところ。300年続いた江戸時代では、戦争も海外へ向けた経済成長もなかったため、人々が趣味・娯楽に存分にエネルギーを注ぎ、様々な日本の伝統文化を成熟させていったわけだけど、これに似た状況が縄文時代では1万年続いたということではないか、と言っていて、なるほどなぁと思った。
1日4時間働いた後はすることもなく暇だったと言われたら、なんで縄文人が実用性が低そうで模様がモリモリの火焔型土器をせっせと作っていたのか納得できるわ。笑
しかしその一方、いつも忙しくて余裕がない現代人の生活って……ていうのも考えさせられるわー。
まさか、縄文時代からこんないろいろ考えさせられるとはね。