役に立つかは別として

頭の中にあるゴチャゴチャを出しとけばスッキリするかも

言葉の壁 2.0

この間、わけのたかまろさんの記事でコメントしたら

okite910nete1820.hatenablog.com

言葉の壁が無いって事は、本当に素晴らしい事ですよね‥‥。いったいどんな感覚なのだろう‥‥。

と返された。それで少し考えてたら、昔ツイッターだったアレで、9.11米国同時多発テロに関する陰謀論を見た。

飛行機の衝突などなかったという説で、このToyoさんによると、飛行機が衝突した映像はあとで捏造されたもので、アメリカでは誰も事件当日に飛行機が衝突した映像を見ていないんだそう。

で、たくさんの人が口々に反論してるんだけど*1、そういう反論にも変な動画を証拠に自分が正しいと言い張っていた。

この動画、あたしも観てみたんだけど、ざっくり言うと

  • ブッシュ大統領が「知らせを受けてテレビを観たら、飛行機がビルに激突していた」「そしたらスタッフに2機目が激突したんですと言われた」と言ってる映像におおむね合ってる字幕がつけてあって
  • その後、日本語で吹き替えしていて原文がわからない映像で「1機目の激突をテレビで観たとブッシュ大統領は言っているが、ネットワークの映像はすべて1機目が激突したあとのものなので、ブッシュ大統領は嘘をついている」という内容を流している

…というもの。

いや、普通に観てもこの動画の後半おかしいでしょ。ブッシュ大統領は1機目の衝突を見たなんて言ってないじゃん。それに1機目の映像がなくても2機目が衝突してない証拠にならないでしょ。どういう理論?

てか、この人は確信犯なのかもしれないけど、その場合、これで日本人は騙せると思ってるわけだよね。実際、簡単に騙される日本人も多そうで怖い。

言葉の壁があって何を言っているのかわからないとき、人は字幕とか吹き替えを疑わない傾向があると思う。DeepLとかGoogle翻訳みたいな機械翻訳だって、盲目的に正しいと信じる傾向があると思う。

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それで思い出したんだけど、かなり前に似たようなのを見た。今探したらあったから、そっちも貼っておく。これ。

バズ・オルドリンが「なんで(アポロ以来)ずっと月に行ってないの?」と女の子に聞かれて、「なんでだろうね?僕も知りたいよ」「でも行かなかったからだよね、なぜ行かなかったのか理由を知っておくのが必要だよね」と答えている動画。

これ、バズは「(アポロ以降は)行こうとしなかったから行けてなかったんだよね」という意味で「行かなかったからだよね」と言ってるだけなんだけど、これをツイートした人は「子供に聞かれて嘘をつけず、本当はアポロは月面着陸していないと本人が告白した!」というふうに捻じ曲げて解釈している。

字幕も紛らわしくて良くないっていうのはあるけど、言葉の壁というのはこういうことだと思う。

もちろん、言葉ができたって聞き間違いや勘違いは起こるものだから、100%大丈夫なわけじゃない。でも、何かに頼ったり何かを介してでないと意思疎通ができない場合、その「何か」が低クオリティだったり悪意を持っていたりしないことが大前提となる。そしてその場合、実際に低クオリティだったり悪意を持っていたりしても気づけないリスクがある。

特に今はAI技術がすごいことになっていて、見破れないフェイク動画もバンバン出てくるような時代だから、原典を直接理解できない「言葉の壁」は、単なる理解できない不自由の壁というより、騙される危険という壁になってくる気がする。

まあ、世界すべての言葉をマスターするのは無理だし、翻訳に頼らざるを得ない場面があるのは仕方ないんだけど。

でも、「数字の基礎ができてない人が電卓やPCに計算を全面的に任せていると、入力間違いとかでとんでもない答えが出力されても『あれ?なんかおかしいな』と思わない」というのと同じようなことが言語でも起こっているわけなんだから、せめて「あれ?なんかおかしくない?」と気づけるくらいにはなった方がいいんしゃないか。

 

*1:あたしも実際、事件当日にアメリカで衝突映像を何度も何度も見ている。あの日のことはここにも書いた。

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