役に立つかは別として

頭の中にあるゴチャゴチャを出しとけばスッキリするかも

本を読む理由

最近「好きな小説を教えて」というお題で、こういうのが好きとか、小説は読まなくなったとか、いろいろ皆さんが言ってるのを見て、そう言えば自分は……と思うことがいろいろあった。

……ので、言語化しておこうと思う。

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どういう本を読むかというのは、その時に自分が何を求めているかによって変わると思う。少なくともあたしの場合、集中的に読む本のジャンルの傾向は今までも人生の中で大きく変化してきた。

子供の頃は、ファンタジーとか冒険物語が好きで、ノンフィクションなんて全く読まなかったと思う。子供向けの図鑑とかさえ、ほとんど見てなかった気がする。とにかく空想モノがよかった。

高校の時に渡米してからの数年は、日本語の活字であればなんでもいいから読みたい、という感じだった。英語の原書を読む力がなくて、でも日本語の活字もなかなか手に入らなくて*1、とにかく活字に飢えていた。日本から物資を送ってもらったときに隙間を埋めるために入ってた古新聞も読んでたくらい。

大学・大学院時代はあんまり読書をしていなかった。他のことが忙しすぎたし、今振り返っても人生で一番面白かった時期だったから、本なんて読みたいとも思わなかった。

就職してからはキャリアのためにビジネス書を読むようになった。あと、自分で稼ぐようになってすぐに投資を始めたから、投資とか金融関係の本も手当たり次第読んでいた。

2回目のリストラに遭ったあと再就職をどうしようか迷っていたときは、ひたすら自己啓発書を読んでいた。あと、この頃から時間とか宇宙にも興味を持つようになって、そっち系の本も少し読んでいた。でも全然理解できなくて、DVDとかにも手を出してたなぁ。

その後、翻訳を仕事にすると決めてからは、翻訳とか個人事業主とかそういう関係の本ばかり読んでいたし、大きな病気をしたあとは、体の仕組みとか栄養とか、健康や身体関連の本ばかり読み漁っていた。

翻訳の仕事をバリバリしてた時期は、小説ばかり読んでいた。この頃の読書はリラックスして休むためのものだった。実用書も読んでたけど、斜め読み。

リタイヤしてからは、時間があるから幅広くかつ深堀りもしつつ、気が赴くままいろいろ読んでいる。

ここ数年は、名文学、宗教、歴史の知識があるとないとでは世界の解像度が全然違うと気づいて、そういう系統を頑張って読むようになった。日本の近代文学は肌に合わなくて面白いと思えず、わりとすぐに諦めたけど、宗教や歴史に関する本は今も興味を持って読んでいる。

あとは、時間とか宇宙とか生物とか人体とか、そういう系統の本。小説は気晴らし的にたまに読む感じ。

で、時間に余裕がでてきて、実際に好きなものを好きなだけ深堀りして読み散らかすようになってから気付いたんだけど、あたしはものごとの成り立ちや仕組みを知ることに喜びを感じる人っぽい。

向学心とかいう高尚なものではなく、単に知りたいという欲求があるんだと思う。だから、それを知ってどうなる?一生役に立たないでしょ、という内容でも読む。

今年の4月にアメリカのテキサスまで皆既日食を見に行ったけど、あのときの目的は畏怖を体験することだった。

www.saki-imamura.com

それはともかく、今村が来年の誕生日に体験できたらいいなと思っているのは「畏怖」です。具体的には、

  • 人間の力なんて到底及ばない圧倒的な何かに打ちのめされて、
  • 人生や人類なんてものはそれより大きな何かの一部でしかないと思い知らされ、
  • 身の程を感じる

という体験です。

 

読書で畏怖を体験できるとはあんまり思っていないけど、

  • まだまだこの世界には、人類にとって未知・未理解なものが溢れている
  • 一方、昔は知り得なかったことを人類はどんどん解明しているし、なんだかんだで進歩・進化している
  • とは言え、結局のところ人類は大きな何かの小さな一部でしかない

というのは実感できる。そして、こういう実感があるたび、希望も感じるんだよね。

ちなみに、つい最近は、これと

これを読んだ。

Newton別冊『時間とは何か 新訂版』

Newton別冊『時間とは何か 新訂版』

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……と言うか、「脳の中の時間旅行」は半分くらいで挫折、「時間とは何か」はパラパラめくって拾い読みした程度なんだけど。

それでも、今まで知らなかったことを知れたし*2、まだまだよく理解できないことがあることもわかったしで、面白かった。

文字がある時代に生まれてよかったなぁ。

活字中毒、上等。

 

 

*1:インターネットもキンドルもない時代。

*2:事故が起こった時などに時間がスローモーションで流れる現象は、脳の情報処理速度が速くなっているから起こる、とか。