役に立つかは別として

頭の中にあるゴチャゴチャを出しとけばスッキリするかも

皆既日食と金環日食が観測できる地球という奇跡

来月は2024年4月8日の皆既日食を見るためにテキサスに行く予定。

それに向けて、日食について勉強しておこうと絶賛努力中。

……なんだけど、ムズい。

なんせあたしはソーイングに使うような幼稚なレベルの空間認識能力さえない人だから、

www.saki-imamura.work

太陽、地球、月の位置関係によって起こる諸々の事象なんて、説明を読むだけではなかなかピンとこない。動画で説明しているのを見てようやくなんとなくわかる、という感じ。

物理学者には憧れるけど、あれはこういうのを直感的に理解できる人がなるものなんだろうなぁ、あたしはそういうポテンシャルゼロだわ…としみじみ思う。

いや、太陽・月・地球が並ぶことで皆既日食や金環日食になるんだよとか、ちょっとズレてると部分日食になるんだよとか、そういうのくらいはわかる。でも、本影・半影・擬本影がどうしてああいう形になるのかとか、どの地点から見ると皆既・金環・部分日食になるのかとか、ちょっと踏み込むともう直感的にはわからない。

でも、そんなあたしでも、宇宙が見せてくれる奇跡にはいつも感動させられる。

これは今回日食の勉強をしていて初めて知ったんだけど、皆既日食と金環日食の両方が観測できる惑星って稀なんだそう。

皆既日食は地球から見た時に月が太陽を完全に覆う大きさでないと観測できないし、金環日食は月が太陽より若干小さく見えるときじゃないと観測できない。つまり、地球から皆既日食と金環日食が観測できるのは、太陽と月のサイズと距離がちょうどいい比率になってるからなんである。

具体的に言うと、

  • 太陽の直径は約140万kmで、月の直径は約3,500kmだから、太陽は月の約400倍の大きさ
  • 地球から太陽までの距離は平均で約1億5千万kmで、地球から月までの距離は平均38万kmだから、地球からの距離も太陽が月の約400倍遠い
  • よって、地球から見たときに太陽と月が似たような大きさに見える
  • でも、地球は楕円軌道で太陽を公転しているから太陽に近くなるときと遠くなるときがあり、月は楕円軌道で地球を公転してるから地球に近くなるときと遠くなるときがあるので、
  • その具合によって月が太陽を完全に覆う大きさに見えたり、太陽より若干小さく見えたりする

ということらしい。これ、すごい奇跡じゃない?400倍の奇跡。

さらに言うと、この状態は一時的なものなんだそう。期間限定!

月は地球ができてから1億年後くらいに地球が火星級サイズの惑星と衝突してできたものとされてるけど、当時は地球からもっと近い軌道で公転していた。だから、昔は月はいつも太陽より大きく見えていて、金環日食は観測できなかった。

でも月は、その重力で引き起こす地球の潮の満ち引きによって地球の自転を毎年1万分の1秒遅くしていて、その結果、月の公転軌道は毎年3.8cmずつ地球から遠ざかっているから*1、今では皆既日食も金環日食もプロデュースできるちょうどいい位置に来ている。

そして、このまま行くと、6億年ちょっとの時点で月は今より2,400kmくらい地球から遠ざかってしまう。そうすると月が太陽を覆えるくらい大きく見えることはなくなるので、皆既日食は観測できなくなる。

これ自体は奇跡じゃないかもしれない。でも、人類が地球から日食を観察するようになったころにちょうどいい感じの位置関係になっていたっていうのは、奇跡と言ってよくない?

人類って、無数にある銀河系の中の1つでしかない天の川銀河の、これまた無数にある恒星の1つでしかない太陽の、たくさんある惑星でも環境的にちょうどいい地球に生まれさせてもらって、皆既日食と金環日食の両方を見させてもらってるんだよ。

なかなか悪くない待遇受けてると思う、人類。

 

 

*1:これも理解するのに時間がかかった。フィギュアスケートの選手がスピンするとき、スピードを上げるのに手足を縮め、スピードを下げるのに手足を広げるのを想像すると理解しやすい。