役に立つかは別として

頭の中にあるゴチャゴチャを出しとけばスッキリするかも

時の流れの中でしか見つけられない面白さ

テキサスに行く前、「アレを見たら『ああ、テキサスに帰ってきたなぁ』と思うんだろうなぁ」と楽しみにしていたものがあった。

「Don't Mess with Texas」という看板である。

こういうの↓

よくロゴ的に使われるバージョン(左)とフリーウェイで見るバージョン(右)

「Don't mess with~」っていうのは「~を怒らせるな」とか「~に悪ふざけをするな」みたいな意味で、「Are you messing with me?」という使い方をすると「あたしのことからかってんの?」みたいな意味になる。でも「Don't mess with Texas」と言った場合、もともとの意味は「テメー、テキサスでポイ捨てすんじゃねぇぞ、ゴラァ!」で、今はそれが転じて一般化され「テキサスで悪事を働いたら許さんぞ」的な意味になっている。

30年前、あたしがテキサスに住んでた頃は、この看板がテキサス中いたる所にあった。

「No Littering(=ポイ捨て禁止)」っていう看板は他州でもよく見るけど、「Don't mess with Texas」みたいな独特のキャッチフレーズを使ってるパターンは他に見たことがない。それにこの言い方って「他州のことは知らんが、テキサスを甘く見るんじゃねぇぞ」とか「テキサスにはテキサスの流儀があるんじゃ、文句あんのか、コノヤロー」みたいな態度*1が根底にあるのが見え隠れしていて、めっちゃテキサスらしい感じがするんだよね。だから楽しみにしていた。

でも、今回の9泊10日でオースチン、ヒューストン、サンアントニオを巡った旅では、この看板を見かけたのはたったの1回だった。

お土産屋とかでは、このロゴがついているグッズをたくさん見かけたのに……。

ちょっとがっかり。

ここ20年くらいの間に、テキサスは大きく変わったと思う。

カリフォルニアからたくさんの企業が本社を移してきていることが主な理由。カリフォルニア企業の移転はオースチン付近に特に多いんだけど、ダラスとか他の都市にも結構いろんな企業が移転してきている。そしてそれに伴って、人も他州からたくさん流入している。土地開発ももの凄い勢いで進んでいる。

だから「テキサスらしさ」が薄まってきちゃってるんだろう。

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テキサスの州都であり、あたしの母校のテキサス大学オースチン校があるオースチンは、昔からテキサスの中でもちょっと変わっていた。テキサスが全体的に保守的であるのに対し、オースチンはかなりリベラルで、ヒッピーっぽいところがある。あと、テキサスと言えばカントリーミュージックなんだけど、オースチンはブルースとカントリーが仲良く拮抗していたりする。

そして地元民は自分たちのそんな風変わりな雰囲気をとても愛していて、昔から「Keep Austin Weird(=オースチンの変なところを大切にしていこう)」と言い合っていた。

でも、そんなオースチンもかなり変わってしまっていた。都市部がめちゃくちゃ拡大してるし、以前は完全に郊外で何もなかった地域がよその都市と見分けがつかない感じの街並みで発展してしまっている。

「Keep Austin Weird」もどうやらその後「地元の個人経営店や小企業を支援しよう」みたいな動きに発展し、今ではKeep Austin Weirdフェスが開催されたりするようになってるらしい。マジか笑

そんなこんなで、決して完全にオースチンらしさがなくなってしまっているわけではないけど、やっぱりカリフォルニア化というか、IT企業化というか、いやもしかすると普通にグローバル化なのかもしれないけど、そういう、他の色がどんどん入ってきて混ざりあった結果、特性が薄まって均一化してしまう現象を強く感じた。

まあでも、すごい勢いで発展してるわけだから、廃れてしまって以前のそれらしさが失われるパターンよりは喜ばしいことなんだろう。

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……てことで、今回は、30年という時の流れをビシバシ感じる旅になった。

実は、今回オースチンで落ち合った大学時代の友達の上の子は、去年あたしたちの母校に入学して今1年生だったりする。それも感慨深くて「あたしがテキサス大学を卒業したの、30年前なのよー」としみじみ言ったら、彼は「えーっ!」と目を丸くしていた。笑

複雑に感じる面もあるけど、時の流れってすごい。だから人生はどんどん面白くなる。

 

 

*1:生粋テキサス人には、「Texans are born in Texas, live in Texas, and die in Texas(=テキサス人はテキサスに生まれ、テキサスに住み、テキサスで死ぬんじゃ)」という「We are the Republic of Texas(=ワシらテキサス共和国じゃけん)」という意識が少なからずある。