役に立つかは別として

頭の中にあるゴチャゴチャを出しとけばスッキリするかも

ちゃんと学んだら凄かった真珠養殖技術

ギリシャから戻ってきたら旅行に連れてって欲しいと母から言われてたから、2泊3日で伊勢志摩方面に行ってきた。英虞湾のリヤス式海岸を見るのがメインで、ついでにミキモト真珠島と鳥羽水族館にも行く、というプラン。

でも今回一番面白かったのは、英虞湾でなくて真珠だった。

世界で初めて真珠養殖に成功したのがミキモトだってことも、真珠貝に核を入れて真珠を作るということも、行く前からなんとなく知っていた。でも、宝石に関しては、以前から真珠とか珊瑚みたいな有機質系のものより鉱物の方が好みだなぁと思っていたから、あんまり真珠に関心を向けたことがなかった。

実際、伊勢神宮以外で英虞湾のついでに見たら楽しそうなのはどこかなぁと調べてたときも、最初はミキモト真珠島はスルーしてたし。真珠を売ってるだけじゃなくて、真珠博物館も御木本幸吉記念館もあると気づいたから、じゃあ寄ってみるかと思っただけ。

そしたら、初日に乗った英虞湾巡りの船で、解説の半分が真珠養殖や御木本幸吉関連の話*1だったから、この時点でもう「これはミキモト真珠島行かずに帰っちゃダメでしょ」みたいな感じになった。

それに、英虞湾巡りの船が出てた賢島の港付近にはたくさん真珠店があったんだけど、さすが生産と販売が直結してるだけあってどのお店の人も真珠養殖に詳しくて、話を聞くだけでも面白かったから、がぜん真珠への興味が湧いてきた。

で、そんなこんなでミキモト真珠島に行って、養殖に至るまでの苦労や養殖技術に関する解説を体系的に見たり、最高級の真珠や真珠を使った作品の数々を見たら、真珠に対する認識がかなり変わった。真珠、スゴイわ。

……てことで、今回得た知識で特におお!と思ったのは以下。

  • 半円真珠の養殖に成功してから真円真珠の養殖に成功するまでに要した期間はなんと10年
  • 真珠貝にはアコヤガイ、シロチョウガイ、クロチョウガイなど、複数種類あり、真珠の色や養殖可能な大きさは貝によって決まる*2
  • 養殖する際に入れる「核」も貝でできている*3
  • 核入れするときは、別の真珠貝から採って小さく切った貝ヒモを核の隣に一緒に入れる
  • 貝ヒモの白っぽいところが貝のキラキラした部分を作る分泌物を出し、縁の黒っぽいところが黒い部分を作る分泌物を出すので、黒い部分は破棄
  • 一緒に入れた貝ヒモが自己治癒過程で核を覆って、その後核と貝ヒモの間に貝殻の内側を生成する分泌物を出すことで真珠層ができる
  • 貝ヒモがちゃんと核を覆うかで真珠ができるかが決まり、覆ったあと均一に分泌物を出すかで真円真珠ができるかが決まる
  • 真珠層が核が透けない程度まで育つには1年ほどかかるが、この時点ではまだ割れやすいため、通常は2年ほど育てる
  • 真珠層が厚くなればなるほど照りや重厚感は増すが、長く育てると真円が歪んでくるリスクもあり、難しい
  • 天然の真円真珠の希少性と真円真珠の養殖の難しさから昔は真円ばかり評価されたが、最近はバロック真珠と呼ばれる歪なものをわざと使ってデザインするジュエリーも人気
  • バロック真珠が多いのは淡水真珠
  • 淡水真珠は核を入れずに貝ヒモの欠片だけ入れて作る;一度に複数個作れる
  • 淡水真珠は色味も多い

真珠養殖ってホント凄い技術なのね!全然知らなかった!

御木本幸吉の生い立ちやエピソードもとても面白かった。うどん屋の長男だったが、もっと稼ぐため子供のころから青果行商もしたとか、20歳で家業を継いだとき見聞を深めるため11日かけて歩いて東京まで行ったとか。海外にも何度も行ってるし、エジソンとかとも会ってるとか。

あと、今まで真珠の品質の違いとかあんまりわからなかったけど、今回毎日真珠をたくさん見たことで、多少は良いものがわかるようになった。

なんでもそうなんだけど、わかるようになってくると面白くなってくるんだよね。

ダイヤモンドとかルビーとかもいいけど、真珠も良いよ、良い。

 

*1:御木本氏がもともと真珠養殖にトライし始めた場所は英虞湾で、今でも関連の場所や建築物が英虞湾にある。

*2:直径1cm以上あるような大粒の真珠を作れる貝は貝自体がとても大きい。

*3:貝殻の白く分厚い部分を丸く加工。