ギリシャについて2つ書いたけど、
もう1つ、ギリシャに行って思ったことがあったから書いておきたい。
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ギリシャに行くにあたって、アテネのこともちょっと調べた。それで、
- ちょっと掘るとすぐになんらかの遺構が出てくるので、地下鉄を通すのにめちゃくちゃ苦労した
- パルテノン神殿の復元プロジェクトが始まったのは1975年だが、今も終わってない
- 古代アゴラは住宅地になっていたので、発掘するために住宅300戸を移築した
と知って、「長く続いた古都があった場所って大変なんだなぁ」と思っていた。
実は今年奈良に行った時に亀型石造物も見に行ったんだけど、そのときガイドさんから
- 野球場*1を作ろうと思って整地していたら亀型石造物の遺構が出てきて、仕方ないから野球場は諦めた
- 亀型石造物の裏にある丘は実は人工丘陵だが、地震で石垣が崩落したことでそれが判明した
- 奈良はちょっと掘るとすぐに何か出てくるから大変
という話を聞いたんだよね。それで「古都ってどこも似たような問題があるんだな」と思ったと。
でも、実際にゼウスの神殿、ハドリアヌスの図書館、古代アゴラ、ローマのアゴラ、ケラミコス、アクロポリス(パルテノン神殿)とアテネの遺跡を巡ったら、どこも「ここは石材屋ですか?」っていうくらい石がゴロゴロ転がっていて*2、奈良どころの話じゃなかった。
例えばハドリアヌスの図書館にあった石たちはこんな感じ。これほんの一部。
パルテノン神殿とアクロポリス全体も似たような状況。
パルテノン神殿とかはテレビで建設当時の姿をCGで再現したものを見たことがあったから、復元プロジェクトが始まったのは1975年で今も終わっていないと知ったときは「さすがに遅すぎない?」と思ったけど、現場の状況を見たらなぜ終わっていないのかわかりすぎるほどわかった。
こんなわけがわからない石の破片がーーしかも破片と言えども1つ1つは結構大きくて簡単に動かせないものがーーこんなにたくさんあったら、もう途方に暮れるしかない。
歴史的場所から発掘された石たちだから捨てるわけにはいかないんだろう。でもこれだけ壊れてると、どれがどこに行くのか突き止めるだけで何年もかかってしまう。柱頭だとわかってる破片があったって、柱本体のパズルができなければ乗せようがない。
戦争とかで何度も人の手で壊されているというのも事を難しくしている原因だと思う。自然に朽ちただけのものなら、もっと簡単にどの石がどこに行くのかわかってたはず。
そういう意味では、他民族による徹底的破壊を経験していない京都や奈良はラッキーと言える。そもそも木造が多くて燃えてしまったら土台とかしか残っていないから、残った破片をどうするかとか考えずに一から建て直ししやすいというのもあるし。
……てことで、見た遺跡全部で「もうホント、困ってんっすよ……」という空気を醸し出す石たちがゴロゴロしてたんだけど、同じ空気は他の場所でも感じた。
写真はないけど、地下鉄のモナスティラキ駅では掘っていたら出てきた遺構を強化ガラスで覆って遺構の上を歩ける形で駅が作ってあったし、構内で発掘品を展示している地下鉄駅もいくつかあった。
あと、ゼウスの神殿の近くを歩いていたら道路沿いに古代の風呂跡があって「地下鉄の空気孔を開けようとしたら出てきた」という説明書きがあった。空気孔程度でこんなものがいちいち出てきて対応せざるを得ない状況に追い込まれるんだから、地下鉄建設業者は毎日うんざりしていたんじゃないか。知らんけど。
古代から栄えてきた街って大変だよね。ローマとかもそうなんだろうな。