ギリシャに行った話を書いたけど、
テッサロニキではビザンチン関連のものが見たくて、ビザンチン博物館とアギア・ソフィア聖堂に行ってきた。
トルコのイスタンブールに行ったとき、もともとはビザンツ帝国の首都だったのにビザンチン関連のものはないがしろにされてるのを見て、
もっとちゃんとビザンチン関連のものを見たいなと思ってたんだよね。
そしたらなかなか面白かったから、書き留めておきたい。
====
ちなみに、テッサロニキに行く前のあたしのビザンチンに対する印象は、「アヤ・ソフィア、地下宮殿(地下貯水槽)、テオドシウスの城壁とか、建築物は凄いけど、イコン*1の絵はなんか全体的に下手くそじゃない?(ごめん)」だった。
そういう印象でビザンチン博物館に行ったら、正教徒でもなんでもないあたしから見るとやっぱりビミョーなイコンがどっさりあって、最初は失礼ながらも笑ってしまった。
こういうのとか、
こういうの。
それに、博物館にはイコン以外のものもたくさんあったんだけど、なぜか下手というか洗練されてないものが多くて、やっぱり笑ってしまった。
こういうのとか、
こういうのとか、
でも、こういうのをたくさん見ているうちに、なんていうか、小さな子供が一生懸命描いた絵とか作品を見ているときのような、ほのぼのとした温かい感情が湧き上がってきた。
ビザンチンには美を追求する姿勢はほとんどなくて、見てても綺麗だなぁという感想は全然湧いてこなかったんだけど、美術を目的にしてない分、人間らしい温かさに溢れている。そういう意味では一般的に追求される美のような小手先の技術より美しい部分もあるんじゃないか。
だって、こういう織部焼みたいな色合いの器もたくさんあったんだけど、なんか良くない?
こういう下手かわいい墓も良くない?
全部見たあと、この人たちは美しい人生を送っていたんじゃないか、となんとなく思った。
それから、これは写真を撮って来なかったから見せられないんだけど、時代別に展示されたビザンチン遺物の最後の方の解説の1つに「西洋美術が入ってきて写実主義などの影響を受けるようなり、ビザンツ絵画も”改善”されていきました」みたいなことが書いてあって面白かった。
ホントに、Byzantine paintings were "improved." みたいに、improvedが引用符付きで、誰が書いた解説なのか知らないけど、「ビザンチン絵画が写実的じゃなくて下手と言われてるのはわかってますがね、まあこの辺も一応直したわけですよ」みたいな「下手で悪いか、コノヤロー」的なビザンチン愛を感じた。
あたしがビザンチン博物館の学芸員だったとしても、きっと"improved"って引用符付けたと思う。笑
ビザンチン、最初に思ってたより、ずっと愛らしかった。いい意味で期待を裏切られたかも。