縄文にハマって以来、「縄文銀座と言われる諏訪とブランド黒曜石の産地である星糞峠がある長野を訪ねたい」と言ってたんだけど
行ってきた。
母のこともあって2泊3日という短い日程しか組めず、ゆっくりじっくり見たいものを全部見るというわけにはいかなかったんだけど、それでもとても良かった。
なんか、諏訪とか茅野とか、あの辺り一帯ってめっちゃ良いところなんだよね。すぐ裏には美しい山々が連なっていて、中心には水があり、広すぎずコンパクトにまとまっている。すごく落ち着く地形だと思う。
似たような印象の地形の一乗谷(福井県)に行ったときも「うわー、朝倉氏がここに城下町を造ろうと思ったのめっちゃわかるー、落ち着くわぁ」と思ったけど、諏訪や茅野では「うわー、自分が旧石器時代とか縄文時代に狩猟採集しながらこの地を通りかかってたら、絶対即決で定住するわ、これは!」と3日間ずーっと思っていた。マジで、黒曜石に関係なく定住したくなる場所だと思うし、そういう意味では、諏訪は「縄文銀座」になる素質が最初からあったのかもしれない。
とは言え、黒曜石がこの辺りが繁栄した大きな要因だったことは間違いない。てか、今回星糞峠原産地遺跡に行って初めて知ったんだけど、この辺りでは縄文より更に昔の旧石器時代からさかんに黒曜石が採掘されていたらしい。つまり、太古の昔から人々はこの地に魅せられていたということなんだろう。だから、人々が定住スタイルに移行し終わって贈与経済が発展し始めたら、なるべくして「縄文銀座」的な感じになったんだろう。
それにしても、星糞峠や星ヶ塔の黒曜石には驚いた。噂には聞いていたけど、本当に透明度が高い。
線で囲んである下3段が長野産
今回改めて学んだ情報によると、石器を作る上で必要な大きさや品質という意味では、星ヶ塔や星糞峠の黒曜石が他の産地の黒曜石と比べて特に秀でているというわけではないらしい。それなのに、全国各地の縄文遺跡で見つかっているんである。
つまり、縄文人は実用性ではなくて「色が薄くて透明度が高い」という見た目の差だけで星ヶ塔や星糞峠の黒曜石を欲しがった、というわけ。ブランドものを持ちたがる現代人と同じじゃん。かわいい笑
あと、星糞峠の黒曜石原産地遺跡付近には、本当にたくさん黒曜石があった。
採掘跡の地層の中にすごい量の欠片があるのにもびっくりしたけど、
下の方の地層(右)に大きな塊がたくさんあり、上の方(左)には欠片がたくさんあるのがわかる
この辺りは地表にもたくさん黒曜石の欠片が落ちていてびっくりした。
一応地面の写真も撮ったけど、後から見たら「なんじゃこりゃ?」だった。地面にいっぱい黒曜石の欠片が落ちてる状態は、現地に行かないとわからないやつ。(注:黒曜石の持ち帰りは禁止)
もう1つ印象的だったのは、握りこぶしくらいの大きさの(透明度は高くないけれど)綺麗な黒曜石が25個、まるでカゴに入っていたかのような形で発掘されたという話。
埋葬品としたのか、単に石器の原材料として集めて保管していたのか、その辺はわからないけど、価値があるものとして大切に扱っていたことは伝わってきてエモい。
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ちなみに、せっかくだから何か黒曜石でできたものを記念に買って帰ろうかと思ったんだけど、普通の黒曜石でできたものばかりで星ヶ塔や星糞峠の透明度が高い黒曜石でできたものはなかったのでやめてしまった。
縄文人が作ったブランドに感化されすぎだろう、お前は!