ここのところずっと自分好みの案件しか来ない状態だったから油断していて、モロに自分好みじゃない案件を請けてしまった。
もぉー。
とある航空会社のアンケート調査票の英訳。
アンケートの調査票の英訳自体は嫌な仕事じゃない。比較的簡単でガシガシできるから、いつもの学術論文の英訳の合間にこういう単純作業的な案件が入るとリフレッシュできる。
でも、今回は内容がよくない。
ここ数年、インバウンド関連で「日本スゴイでしょ」的な位置づけのマーケティング(?と呼べるのか個人的には疑問だけど)が増えてると思う。
で、それに似た路線で、またはそういうマーケティングをするために、「日本スゴイでしょ」的な誘導アンケート調査も増えてる。
「◯◯の体験はいかがでしたか?(非常に満足/かなり満足/満足/やや満足/不満*1)」みたいなやつ。
こういう思いっきりバイアスかかったアンケートの結果を使って「お客様の満足度95%!」とかいうマーケティングをするんだろうなぁと思うと、うっかりとは言え、片棒担ぐのは悔しい。頭に来る。
あと、手法的に問題がなくても、「日本スゴイでしょ、日本のおもてなし、いいでしょ?」って調査側が酔っちゃってるアンケートもたまにある。
選択肢が「日本への思いが湧いてくる」「心のこもった日本のおもてなしが心地よい」「気配りと日本文化を感じる」みたいなのになってたり。「日本スバラシイデスネ!」ってのが前提か?っていうようなやつ。
今回の案件は特に後者の傾向が強くて、訳してて気持ち悪くて仕方ない。
日本ってこういう風潮あるよね。
そういう「日本スゴイ」的なテレビ番組もたくさんあるし、日本政府も「日本スゴイでしょ」って押しまくってるし。
こういうのはメディアと政府が作り上げてるだけで、一般の日本人はもう少しまともだと願いたいけど、どうなんだろう?
別に「日本にはいいところがない」と言いたいわけでは、断じて、ない。日本にはいいところもいっぱいあると思う。
ただ、アピールの仕方が気持ち悪いんだよね。
うわー、大の大人のくせに自分の文化と価値観が絶対で一番だと思ってるよ、他の文化や価値観があることさえも気付いてないよ、恥ずかしいよー、そのうえこんなに粘着的に押し付けてくるってキモいよ、同類だと思われたくないからあっち行ってよ、きゃー
……と思っちゃうわけ。もう、反射的に。
日本の文化はこうです。こういう背景があるのです。
そう言えばいいだけ。
誇りに思ってることをどうしても付け加えたいなら、誇りに思っています、と言えばいいだけ。
それ以上はアウト。文化や価値観を押し付けるのはアウト。アウト!!アウトだよ!
グローバル社会なんだからさー。頼むよ、日本。
逆にね、相手の価値観や文化をじっくり学んで、相手の作法に則っておもてなしするとかね、そういうことをたまにはしたっていいんじゃないの?
*1:普通は(非常に満足/満足/どちらとも言えない/不満/非常に不満)のような選択肢でないと客観的で公正なアンケートとは言えない