最近、「宇宙」をキーワードにして本を探すことが多い。
宇宙開発や宇宙関連ビジネスがめちゃくちゃ進んできている昨今の状況を見ていると興味が湧くというものあるし、科学や技術の進歩という意味で興味が湧くというのもある。でも、個人的には、宇宙に関して見聞きしていると否応なく「今ここという奇跡」を感じて惹かれてしまうという方が大きいかもしれない。宇宙について学んだり、宇宙を感じたりしていると、人類の起源そして未来、自分たちが存在している意味みたいなことがわかってくる気がする。
例として、以前もこういうことを書いたし、
実際に皆既日食を見に行って素晴らしい体験もした。
一応言っておくと、自分も宇宙に行きたいとか、月や火星に移住したいというようなことは、今のところ1ミリも思っていない。高所恐怖症で本当は飛行機さえあんまり好きじゃないのに宇宙船なんて乗りたくないし、地球の奇跡が素晴らしすぎて他の星に移住するなんて考えられないから。
でも、宇宙を体験すると人生が変わるんだろうなぁとは常々思っていた。
そしたらこの本を見つけた。
立花さんというジャーナリストの方が、宇宙飛行士たちに宇宙経験が自分の内面にどう影響したかをインタビューしてまとめた本。
初版が1985年だからまあまあ古い。インタビューされてるのもアポロ時代の宇宙飛行士たち。でも、なんてったってあの人たちは月まで行っている。もちろん、ISSくらいの高度*1までしか行かなくても地表の様子がよく見えたり結構なスピードで地球が自転してるのがわかって面白いらしいんだけど、月まで行くと*2地球は大きめのビー玉くらいのサイズになり、見え方が「宇宙に浮かんでいる地球」になる。なので、両方経験*3している宇宙飛行士たちに言わせると、このくらい離れた距離でEVA(船外活動)して、漆黒・無音の宇宙に浮かんだ状態で小さな宝石のような地球を見るというのが一番すごい体験なんだそう。
そして、そういうすごい体験をすると、やはり人の意識は大きく変わるらしい。
その辺の体験談がそれぞれの宇宙飛行士の生い立ち、学歴、宗教*4などとともにまとめられていて、とてもとても興味深かった。
特に「へえ!」と思ったのは、ほぼ全員が宇宙で神を感じていたこと。
まず、地球の外から地球の美しさを眺めると、否応なく「これが偶然の産物なわけがない、神の創造物でしかあり得ない」と感じるんだそう。しかも、元々の信心深さに関係なくそういう感想を抱いている。
あたしは地球が神の創造物でしかあり得ないと感じたことはまだないんだけど、地球や地球上の生物、そして宇宙のことを学べば学ぶほど、これが進化とかいう偶然の産物ってマジ?と驚くのは確かなので、地球の外から地球を眺めると偶然じゃないと確信してしまうという話は興味深い。
また、宇宙では思考がクリアになった、何か問うと答えが即返ってきた、ESP能力が使えた*5、月面で探していた鉱石を導かれるように見つけた等、「神の存在を感じた」と話している人も多い。神の存在を感じちゃったら、地球は神の創造物だと思っちゃうのも当然かもしれない。
あと、基本的に宇宙飛行士ってみんな理系の小難しい博士や修士を持ってるような人たちなのに、それでも「進化論と創造論は矛盾しない、創造があってそのあと進化があったのだと思う」と言う人たちがいて*6、結構驚いた。
あたしには聖書に描かれてるような創造が実際にあったとは思えないんだけど、例えば「何者かが宇宙を育てる環境を用意し宇宙の種を植えた結果、ビッグバンが起こり、その後自然と宇宙が育つ過程で進化が起こった」と考えたら確かに創造と進化は矛盾しないな!と目からウロコだった。
もう1つ「おお!」と思ったのは、宇宙飛行士たちが「世界の様々な宗教は本質的にはみな同じ」と結論していたこと。
ずっと前に、どの宗教ももともと同じ「宇宙の真理」から始まっていたのではないか、という仮説を書いたけど、
月まで行って広大な宇宙にある小さな地球を見た宇宙飛行士たちも「文化や言語が違うから違う形に発達したが、どの宗教も本質的には同じでどの宗教の神や仏も本質的には同じだと気付いた」みたいなコメントをしているんである。
帰結の仕方があたしとはちょっと違うけど、あたしもそう思う!同じことを思ってる人がいて嬉しい。
それにしても、低軌道くらいまでだと「宇宙から見たら地球には国境なんてなかった」っていう感想になるのに、月まで行っちゃうと「宗教や神も本質的には同じだった」っていう感想になるの、面白い。神の目線になるってことなのかもしれない。
しかし、あたしたちが「宇宙」だと思っている空間が誰かの家にある「宇宙栽培水槽」だったりしたら笑うよね。人間も水槽でアリを飼ってアリの生活を観察したり、シャーレで菌を培養して観察したりするけどさ、あたしたちの宇宙もああいうノリでもっと大きな何かが観察用に培養したものだったりして。
しらんけど。